“東京大改造”五輪決定で加速 国際都市への挑戦、ドーム50個分の規模

2020年の東京オリンピックパラリンピック開催が決定したのを機に、東京を国際都市へと大改造する取り組みが始まった。すでに都心3区を中心に検討中を含めて動き出している大規模な都市再開発案件は60件以上、開発面積にして240ヘクタール(1ヘクタールは1万平方メートル)を超え、六本木ヒルズの約30倍、東京ドーム約50個分の規模に達する。安倍政権の成長戦略で国家戦略特区として来年早々に指定されれば、容積率などの規制緩和を活用して再開発事業が加速化されるのは間違いない。果たして首都・東京はどのような変貌を遂げるのか。


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 「五輪開催決定を起爆剤に経済再生に不可欠である都市再生を加速させる絶好の機会」(森ビル・辻慎吾社長)。民間事業者がオリンピック開催決定で意気込むのも無理はない。1964年の東京五輪で開発されたインフラが日本経済の成長と東京の発展を支えただけに、東京の国際競争力を高めて再び日本経済を再興しようとの思いが強いからだ。

 東京の都市再開発は、2008年秋のリーマン・ショックで急ブレーキがかかった。建て替え需要が大半を占める東京都の建築着工床面積の推移でみても明らかだ。バブル期には年間2000万平方メートルを大きく超えていた時期はあったものの、バブル崩壊後も東京都の建築着工床面積は年1700万〜2000万平方メートルで安定的に推移し、都市の新陳代謝が活発に行われてきた。

 しかし、05年の耐震強度データ偽装事件で住宅着工が激減し、リーマン・ショック後の09年度には前期比2割減の1358万平方メートルにまで縮小、その後も低迷が続いた。ようやく渋谷駅周辺再開発など大型プロジェクトが動き出した昨年度は、前期比1割増の1564万平方メートルまでに回復。東京オリンピック開催決定で、リーマン・ショック後の遅れを取り戻し、再開発を一気に加速させようというわけだ。

 東京の中心部ですでに動き出している再開発事業・計画は、超高層ビル・マンションまたは開発面積1ヘクタール超の大型案件を数えただけでも60件を超える。その開発面積を合計すると約240ヘクタール。これとは別に、開発面積44ヘクタールのオリンピック選手村や新国立競技場など新設9、仮設11の競技場の建設が続々と動き出す。

 「都心部の機能更新の必要性を東京都が打ち出したのは1995年の東京プランから。この時に羽田空港の第4(D)滑走路、首都圏3環状道路の整備も盛り込まれ、実現しつつある」(青山●(やすし)明治大学教授・元東京都副知事)。それまでは東京一極集中への批判や首都機能移転が検討されていたこともあり、東京への大規模なインフラ投資が控えられ、丸の内や日本橋など古いビジネス街の機能更新も行われなかった。

 2001年に小泉政権が都市再生本部を設置して、東京都心部での再開発事業が本格化。それから10年が経過し、これまでに東京を代表するビジネス街の丸の内・大手町・有楽町地区で建て替えられた超高層ビルの敷地面積は31ヘクタールに達した。旧国鉄跡地を再開発した汐留シオサイトや品川駅東口駅前再開発、六本木ヒルズ東京ミッドタウンという、いずれもリーマン・ショック前までに開業した再開発を加えると100ヘクタール規模になる。

 だが、現在動き出している開発事業の規模はその2倍を大きく超える。現在の計画をみると、それらの多くが、オリンピックが開催される20年には完成しているはずだ。東日本大震災の復興事業も続き、今後、慢性的な建設技能労働者不足や建設コストの上昇が予想される。その中で東京オリンピックに関連する施設やインフラ整備と並行しながら、200ヘクタール以上もの大規模プロジェクトをいかに実現していくのか。困難な課題は多い。

 また、「民間事業者が好き勝手に開発を進めて、東京湾からの海風が吹かなくなり、ヒートアイランド現象が悪化するような街づくりは許されない。最先端のスマートシティ(環境配慮型都市)を実現して世界に示すべきだ」(野村不動産・中井加明三社長)といった新しい都市ビジョンも求められている。

 「2012年のロンドンオリンピックは、(大会後に施設などの使い道を決める)レガシー(遺産)計画が成功した事例。土壌汚染もあって貧困で治安の悪かった地域を魅力的な都市へと再生した」

 六本木ヒルズ10周年を記念して開催されたフォーラム「オリンピック開催と都市開発」と題したセッションで、都市開発コンサルタントのビル・キスラー氏はそう評価した。オリンピックスタジアムと駅の間に大規模なショッピングセンターを整備したことで、周辺の住宅価格も大きく上昇した。対照的に04年のアテネは、レガシー計画が十分に検討されず、その後の財政悪化もあって多くのオリンピック施設が使われずに放置されているという。

 20年東京五輪の招致プランでもレガシー計画は検討されている。ただ、現時点では競技場の後利用にとどまり、周辺開発やインフラ整備と連携して将来の都市開発と結びつけるロンドンのようなレガシー計画の策定はこれからだ。

 「成熟社会を迎える東京では、スポーツや文化がますます重要になる。オリンピックを機に国民のスポーツ熱も高まり、東京のまちづくりを議論するチャンスだ」(青山教授)。12月には東京都が新たな中長期計画を公表する予定だ。2020年以降を見据えた国際都市・東京のまちづくりをどう進めるのか。議論はまだ始まったばかりだ。

 2020年、さらにその先へ。東京は国際都市として位置付けを確実なものにできるのか。動き出したさまざまなプロジェクトを検証し、東京の将来像を浮き彫りにする。

 ●=にんべんに分の刀を月に

http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/fbi20131124011.html

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