渋谷公園通りで新築! “マンション建て替え”が都心で進む意外な理由

渋谷駅から徒歩5分の渋谷公園通りに面する土地に、真新しいマンションが完成したのは2013年10月のことだ。
近くにはパルコをはじめファッションビルやホテルが並び、渋谷区役所も近い。
こんな場所によくマンション用地があったものだと思うが、この「アトラス渋谷公園通り」はマンションの建て替え事業でできた物件だ。

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●ハードルの高い等価交換方式を選択

 東京23区内でも山手線エリアの周辺では小規模なマンションの建て替えニーズが強まっているが、
都心から少し離れた地域ではまとまった規模の建て替え事例が増え、分譲マンション市場でも話題を呼んでいる。
その1つが、阿佐ヶ谷住宅の建て替え計画だ。

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 東京メトロ丸の内線・南阿佐ケ谷駅から徒歩5分の場所にある阿佐ヶ谷住宅は、
1958年に日本住宅公団(現在の都市再生機構)が分譲した350戸の団地だ。
敷地面積が約5haあり、3〜4階建ての中層団地と2階建て連棟式のテラスハウスで構成されていた。
築40年近く経ったころには建物の老朽化や住民の高齢化が進んだことから、
管理組合を中心に建て替えの機運が高まり、2005年に建て替え決議が成立した。

 この建て替え事業の特徴は、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」による建て替え手法は使わず、
等価交換方式を採用している点だ。
これは権利者が土地をデベロッパーに売り、そのお金で建て替え後の土地・建物を買い戻す方式。
基本的には全員の合意がなければ事業が成立しない。
それを350戸の規模のマンションで実現するには相当高いハードルを超える必要がある。
なぜあえて等価交換方式を採用したのか、2003年から事業に参画している
野村不動産住宅事業本部マンション建替推進部課長の原淳氏は次のように話す。

 「阿佐ヶ谷住宅が分譲された当時はまだ区分所有法ができる前で、テラスハウスの土地は単独所有になっているなど、
権利関係が複雑でした。2003年に施行されたいわゆるマンション建替え円滑化法でも、そうした土地の所有形態は想定しておらず、
法律の効力がどこまでおよぶかが不透明だったので、民間同士の契約で事業が成り立つ等価交換方式を採用したのです」

リーマンショック東日本大震災で計画が頓挫しかけたことも

 さらに阿佐ヶ谷住宅では、建て替えにあたり、地区計画という手法を用いている。
これは住民と行政とが連携しながら、建物の高さや用途、敷地の広さなどのルールを設けて街づくりを進めていくというもの。
容積率の緩和を受けることで建物の高さを上積みし、その分、敷地にゆとりを持たせて緑の環境を多く整備できるといった
メリットがある。
だが実現するには区や都の承認を得るための手続きなどに時間がかかることは否めない。

 「2008年にリーマンショックが起き計画を練り直したり、東日本大震災後には建て替え賛成から反対に転じた人も出るなど、
予想外のこともありました。しかしねばり強く権利者を説得し、2013年4月から解体工事に着手できました。
その後も3カ月に1度程度、権利者が集まって工事現場を見学するなど親睦を深めながら、
2016年度予定の工事完了を楽しみに待っているところです」(原氏)

 権利者約150名のうち約120名が建て替え後のマンションに戻る予定で、
建て替え後総戸数580戸のうち約380戸は野村不動産が分譲する。
余剰容積が多く、また都心部に位置するため、権利者への還元率は高く、仮住まい費用等を含め、
権利者の負担はかなり低く抑えられた建替え事例だ。

●現状維持を望む高齢者が建て替えに反対するケースが多い

 野村不動産ではほぼ同時期に、世田谷区でも大規模な建て替え計画を幹事として進めている。
それが現在、分譲継続中の「桜上水ガーデンズ」だ。
1965年完成の桜上水団地17棟計404戸を9棟計878戸に建て替えるプロジェクトで、
東京23区内では最大のマンション建て替え事業とされる。


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同社は2002年に事業参画し、地権者、三井不動産レジデンシャルとともに計画を推し進め、
2009年にマンション建替え円滑化法に基づく建て替え決議を成立させた。

 「敷地内に複数の建物がある団地型マンションの場合、建て替え決議には権利者全体の5分の4の賛成に加え、
建物ごとに3分の2以上の賛成が必要です。桜上水団地では過去に2回、決議を試みましたが成立せず、3回目でようやく成立しました。
最後まで建て替えに反対し、明け渡し訴訟となった権利者も十数名いました」と、
同社マンション建替推進部長の森重克人氏は振り返る。

 桜上水のケースでは既存団地の容積消化率が約56%と低く、建て替えによって発生する余剰住戸を分譲することで
事業費が賄えることが、事業成功の鍵を握ったといえる。
とはいえ、建て替え決議が2度にわたって不成立となるなど、反対者が少なくなかった要因としては、
住民の高齢化などが挙げられるという。

 「高齢者の中には慣れ親しんだ住環境を変えたくないと、現状維持を望む人が少なくありません。
また、エレベーターのない階段室型の団地の場合、階段単位がいちばん身近なコミュニティーです。
同じ階段を利用する住戸の中で声の大きい反対者がいると、そのその階段のほかの住民も賛成しにくく、
決議を棄権するケースがあり、特に3分の2以上の棟別決議を成立させるのに時間がかかりました」(森重氏)

●「既存不適格」で建て替えの事業化が困難なケースも

 同社ではほかにも、隣接する2棟のマンションを1つのマンションに建て替えたり、
隣接地を買い増しして建て替えるといった手法も用いて、事業推進中も合わせこれまでに17件の建て替え事業を手がけてきた。
立地や容積の余剰がある案件では還元率が100%かそれに近い比率で事業化できており、住民負担が最小限に済んでいる。
だが、今後は容積の余剰がある物件も減少し、また建築工事費上昇を受け住民の負担なしに
建て替えられるケースは少なくなるだろうと、森重氏は予測する。

 「全般的に容積率に余裕のないマンションが多く、都心部では建物の高さ制限や日影規制をオーバーしている
『既存不適格』のケースも多い状態です。一方で郊外の団地型マンションでは規模が大きいために合意形成が進まなかったり、
周辺相場との関係で事業化が難しいケースが見られます。今後の対策としては、建て替えの合意要件をさらに緩和したり、
国が検討しているように区分所有を解消してマンションを解体する際の要件を緩和するといった法改正が望まれるでしょう」

 課題も多くないマンションの建て替えだが、次回は高いハードルを住民主導で乗り越え、
建て替えを成功させた事例を取り上げよう。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140227-01055359-trendy-bus_all&p=3


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