被災マンション、8割同意で解体 「全員同意の壁」撤廃 : 管理費見直し、管理費削減

被災マンション法の改正要綱は、地震などで壊れた
譲マンションを解体する際の要件を大きく緩和した。


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所有者全員の同意を必要とする現行制度では、
一人でも反対すれば解体できない。

多くの人が全国各地に避難した東日本大震災では、
同意書集めに時間を擁するなど問題点が顕在化した。
要綱には「全員同意」の壁を取り払うことで、
復興を促進したいという狙いがある。

 「もう住めなくなるな」
平成23年3月11日、仙台市の「サニーハイツ高砂」の
管理組合理事長だった伊藤宗昭さん(67)は大きく傾いた
マンションを見てそう感じたという。

 翌月には震度6強の余震でさらに傾き、
近隣マンションからは
「また余震が来たら倒壊するかもしれない。早く解体してほしい」
という声が寄せられた。

 築35年、14階建てのサニーハイツには189戸が入る。
管理組合の臨時総会で対応を検討したが、建て替えには数年かかる上に、
1戸あたりの負担額の試算は約1500万円に上り、
最終的には解体で一致した。

 建て替えであれば、区分所有法は所有者の5分の4以上の同意で可能としているが、
解体のみの場合は民法の規定で所有者全員の同意が必要となる。

 ところが、所有者の多くは全国各地に避難している上に、
海外在住者や入院中の人もいたことから、伊藤さんは同意書集めに奔走。
6月にようやく全ての同意書を集め終え、年明けの着工にこぎ着けた。
「各自の避難先を把握していたからできた。
うちの場合はかなり恵まれていた」
と振り返る。

 宮城県マンション管理士会によると、
市内で「全壊」と判定されたマンションは推定約120棟。
このうち5棟の解体が決まったが、萩原孝次会長は
「所有者が行方不明のケースもあり、
全員の同意を取るのは非常に難しい。現行の要件は現実的でない」と話す。

 マンションの処分方針をめぐり、所有者の利害が対立する可能性もある。
阪神淡路大震災で「全壊」と判定された神戸市の
「イトーピア神戸住吉」は、建て替えと修繕で意見が割れた。

 大部分を占める一般居住者からは
「修繕ではいずれまた何らかの対応が必要になるが、建て替えならば一度の先行投資で済む」
との声が多かった。
だが、マンション1階部分で飲食店などを営む事業者は
「修繕の方が、早く店を再開できる」と修繕を希望。

結局、66戸中65戸の賛成多数で建て替えとなった。
管理組合理事長だった吉川丈司さん(80)は
「それぞれ事情が異なるので話をまとめるのは難しかった。
不満を残さないように気を使った」という。

 法務省は「話し合いが紛糾すれば壊れた建物が長期間放置され、
復興の妨げになる。要件緩和で復興促進につなげたい」と期待を込める。

明治学院大大学院の戎正晴教授(区分所有法制)は
「復興に向け所有者の選択肢が増える」と評価する一方、
「災害時に限らず、要件緩和を検討すべきだ」としている。



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