マンション独居 「元気カード」で見守り 【管理費見直し;管理費削減】

「元気です」。北九州市小倉北区の緑ケ丘第四マンションに住む
野見山茂和さん(88)は、毎朝起きると真っ先に
そう書かれたカードを部屋の前にぶら下げる。
13年前に妻を亡くして1人暮らし。
昨年末に心臓を手術し、1月下旬に退院したばかりだが
「マンションの人たちが見守ってくれているから安心」と話す。


0207013「元気ですカード」を玄関脇の窓格子にぶら下げる野見山さん=北九州市小倉北区で、加古信志撮影


 全国で進む高齢化。四大工業地帯の一つとして日本の高度成長を引っ張った
北九州市は今、高齢化率が全国の政令市で最も高い25・5%(12年)。
全国平均(24・0%)も上回り、「超高齢社会」の先頭をひた走っている。

 緑ケ丘第四マンションは73年に完成。
現在74世帯102人が暮らすが、65歳以上が53人と高齢化率は50%を超え、
1人暮らしは32世帯を占める。
買い物や交通の便も良い都心部にあるが、建物と居住者の二つの「老い」が同時に進む。

 マンションが「元気カード」の取り組みを始めたのは約9年前から。
1人暮らしを対象に各階の管理組合役員がカードが出ているか毎朝確認し、
出ていない場合はすぐに安否を確認する。
集会室で毎朝ラジオ体操をしたり、
季節ごとの行事を催すなど住民同士のつながりで
「最期までここに住もう」と続ける自助努力の一つだ。

 だが、管理組合の原田久子理事長(65)は
「現状維持で精いっぱい。自分が80歳になった時、
誰が面倒を見てくれるのか」と不安を隠さない。

 3年前の夏、福岡県マンション管理組合連合会の石川靖治会長(70)が
暮らす北九州市八幡西区の分譲マンションで50代とみられる男性が
部屋で亡くなっているのが見つかった。
複数の防犯カメラに姿がしばらく映っていなかったことから
管理組合が気付いたが、死後1週間が経過していた。問題はそれだけで終わらなかった。

 離れて暮らす男性の子供らが相続を放棄したため、部屋は放置され、
管理費滞納の状態に陥った。
管理組合が法的手続きに奔走しているが、今後も家裁に選任してもらう
相続財産管理人に対して訴訟提起するなど煩雑な手続きが残る。

 石川さんは「同様のケースに対応できないマンションで今後、空き家が増えていくのでは。
分譲マンションは個人所有だが、行政が積極的に支援していかないと
都市の『スラム化』が進んでいく」と強い危機感を抱く。

 これまでに誰も体験していない超高齢社会。
予測では7年後の20年には北九州市の3・2人に1人が
65歳以上のお年寄りになる。



 自助努力を続ける緑ケ丘第四マンションの前理事長、
梶原満生(みつゆき)さん(69)は願う。
「個人的な考えだが、将来的にこのマンションがそのまま老人ホームになれば。
離れて暮らす子供たちも安心するし、自分たちもここで、大好きな街で死にたいから」

 ■  ■  ■

 1963(昭和38)年の5市合併で北九州市が誕生して
2月10日で50年を迎える。
福岡市(72年)、熊本市(12年)に先駆けて九州初の政令市となった
北九州市は、大都市が抱える特有の問題に常に先頭を切る形で直面してきた。
解決に向けてさまざまな模索をしながらも
明日への扉を開けようとする街の「今」を追った。

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http://mainichi.jp/area/news/20130207sog00m040010000c.html