マンション被災、経験と教訓を冊子に 宮城県管理士会

東日本大震災で被災したマンションの教訓を
首都直下型地震などの備えに役立ててもらおうと、
宮城県マンション管理士会(萩原孝次会長)が、
冊子「震災とマンション?〜経験した者が残すべきこと〜」をまとめた。
震災から1年半たった時点で浮かび上がった法律や、
支援制度の問題点を検証した。

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 同会は震災後、マンションの被災状況を自主調査し、
管理組合や住民の相談、助言に当たった。
冊子は被災記録に主眼を置いた一昨年11月の発刊に続く第2弾で、
会員ら7人が執筆。
震災1年半後に開いた専門家による座談会の討議内容も収めた。
 
震災から1年で復旧工事が完了した分譲マンションは、
被災マンションの3割程度にとどまるという。
遅れる要因になっているのが工事費の調達。
地震保険金の受け取りの有無と金額の多寡が大きく影響していることから、
全マンションが地震保険に加入すべきだと訴えている。

 公的支援制度が十分機能しなかった点も指摘した。

制度は一戸建てを想定しており、
区分所有建物のマンションには当てはまらない部分も多かったという。

 例えば、災害救助法に基づく応急修理制度は当初、
共用部分は適用外だった。
専有部分の風呂やトイレは修理対象でも、
生活に欠かせない受水槽などに適用が拡大されたのは震災から5カ月後。
対象箇所や申請できる入居者に制約が多く、迅速な対応にはほど遠かったとしている。
 
被災マンションの公費による解体は、
区分所有者全員の同意を必要とする要件がネックになった。
仙台市では、100棟超が罹災(りさい)証明で「全壊」と判定されたが、
公費解体申請は5棟にとどまったという。
 
同意取り付けを担った会員は、津波による行方不明者や遠隔地にいる所有者らの対応に追われた。
冊子では同意要件の緩和と、昨年9月で終了した公費解体制度の復活を求めている。
 冊子はA4判、55ページで1000部発行。
今後の災害に生かしてもらうため、
11日から関連団体や希望者に頒布する。

連絡先は宮城県マンション管理士会022(218)2003。


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