五輪の熱狂は一時の祭り マンション購入の判断材料にするのは危険

東京五輪開催関係の話題で世間は騒がしい。競技会場が集中する東京の湾岸エリアでは「マンションのモデルルームへ集客が急増」という報道がいくつかみられた。



 「五輪が開催されるから、あのエリアにマンションを買おう」

 そう考えて行動している人が多いのだろう。でも、よく考えてほしい。開催されるのは7年後。パラリンピックを含めても期間は2カ月に満たず、大部分の競技場は撤去されるか、規模を縮小して再利用ということになる。

 いわゆる「祭りの後」は確実にやってくる。東京都の人口は、まさに五輪が開催される2020年にピークを迎え、その後は減少すると予測されている。そんな中で、湾岸エリアの競技場跡地に新たな住宅や商業施設が建設されるのだろうか。



 9月11日付の英フィナンシャル・タイムズ紙はこの五輪を「国家衰退の処方箋でしかない」と報じている。

 開催が日本経済に好影響をもたらすことは間違いない。この欄で何度も書いた通り、一部の地域では不動産の価格が上昇するだろう。

 しかし、開催されるからといって、にわかに出生率が急上昇したり、インターネットに比肩するような新たなイノベーションが日本から起こったりする、とは考えにくい。

 つまり、この国の人口は減り、それに伴って経済規模も縮小するという大きな流れが五輪によって多少は遅くはなるが、逆転することはないはずだ。

 ということは、日本の不動産価格も、全体としての下落基調は変わらないとみられる。



 もっとも、これには地域差がある。

 私は常々「もっとも値下がりしないマンションを買いたいのなら、港区で選びなさい」と言ってきた。今は、これに五輪の選手村ができる晴海(中央区)と、その最寄り駅がある勝どき(同)を加えてもいい。

 関西なら、やはり芦屋(兵庫県)や西宮(同)あたりが値下がりしにくいが、東京の港区ほどでもない。京都の御所周辺も手堅いが、今は限定バブル状態で手を出しにくい。

 そういったエリアは五輪に関係なく、いつの時代も「多くの人が住みたがる」という強力なニーズがある。



 今、東京の湾岸エリアで発生しているマンション購入のニーズは、かなり一時的な現象だと思う。これから、開催年まで何度か小さなブームが起こるだろう。だが、それが断続的に続いてもブームはせいぜい8年。その後は、東京も人口減少によって周辺部から衰退が始まる。



 もし、懸念される大地震がやってくると、それこそブームで動くようなニーズはきれいに吹き飛んでしまう。

 現在、マンションを購入しようとしている人々の中心は30代。平均余命を考えれば、これから約50年も人生が続く。五輪が終わってからだけでも40年以上。熱狂は一時の祭り。それを住宅購入の主要な判断材料にすべきではない。


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