マンションの大規模修繕 第三者チェックで賢く費用節減

マンションの老朽化を防ぐために不可欠な大規模修繕工事の効率化を目指す住民が増えている。従来の管理会社主導の工事では内容に無駄が多く、コスト高になりがちだからだ。工事に第三者によるチェック機能が働くような発注方法や、工事の間隔を延ばす工夫など、賢く建物を長持ちさせるポイントをまとめた。

 ■広がる分離式

 マンションの大規模修繕は、資産価値を維持するために建物全体を補修する大掛かりな工事だ。住民が支払う修繕積立金を元に実施。外壁の補修や屋上の防水、給排水管や空調設備の取り換えなど修繕箇所は幅広い。

 工事は(1)どの箇所をどのように修繕するかを決める設計(2)施工(3)工事内容をチェックする監理−の3つに分かれる。

 従来は、マンション住民の管理組合が、管理業務を手掛ける管理会社などに設計から監理まで一括して発注する「責任施工方式」が多かった。しかし、透明性に欠けるため、無駄な工事によるコスト高や甘い監理につながりがちだった。

 このため最近は、設計・監理を利害関係のない設計事務所などに依頼し、施工はゼネコンなどの請負会社と契約する「設計施工分離方式」が主流になりつつある。施工業者の選定に競争原理が働くので費用節減につながり、しっかりしたチェックも期待できるからだ。

 ■1割削減

 築12年を迎えた横浜市内のあるマンションは初の大規模修繕工事で、分離方式を採用。施工は、外壁補修や防水など建物の外観を中心に業者7社による競争入札を実施し、工事費は当初8800万円に上った。

 設計と監理は設計事務所ではなく管理会社が担ったが、管理組合はコンサルティング会社に工事内容の精査を依頼。すると利用の少ない階段に化粧板を張る工事や、不具合が出ていないルーフバルコニーの防水層の張り替えといった無駄な工事計画が判明したため、施工業者は総工費の約1割に当たる850万円分の工事削減に応じた。

 不動産コンサルティング会社「さくら事務所」の土屋輝之さんは「管理組合側に立った施工業者の選定や監理業務ができる管理会社は少ない。第三者によるチェック機能や競争原理を働かせるように工夫しないと業者の利益が優先されてしまう」と指摘する。

 ■計画見直しを

 工事の前提として管理会社が提示する長期修繕計画の見直しも必要だ。最良の状態を目指すため、無駄な工事も多いからだ。例えば工事前に実施する建物の劣化診断。「詳細な検査は無駄で、十数万円の簡易検査でも十分。施工段階で劣化度合いが判明してから工事しても間に合う」(マンションコンサルタント)。

 外壁や屋上の防水、機械式駐車場なども日常のメンテナンスを充実させれば、修繕工事の間隔を延ばすこともできる。ほかにも管理費の無駄を洗い直して修繕積立金に充てたり、必要最低限の修繕に限定したりと工夫の余地は多いと専門家は指摘する。

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