【相続】不動産バブルの正体? 実は相続税、消費税対策

不動産関係で景気のいい話題が出始めるようになってきた。1980年代のような強烈なバブルが再来しているのかと思いきや、現状では価格にはそれほど大きな反映は見られないようだ。というのも実際は富裕層の相続税、消費税がアップする前の対策だという。

■珍しい売り物件の「弾切れ」

 「折り込みに載せるネタがなくなってきたので、どうしようかと思っています。押し買いに行った方がいいんですかね」。

 高額不動産の取引を行うある業者は、案内する物件が一時的に「弾切れ」の状態になっていることを嘆いた。「押し買い」とは金価格が高騰している時に、押し売りの反対で無理やり安値で買い取っていた、一部の業者が行ったあくどい手法だ。

 このように不動産業界関係者は、本格的に不動産が動き始めてきた手ごたえを感じ取っているようだ。東京都心部のある分譲タワーマンションでは、説明会に問い合わせが殺到して追加で開催したり、資料も追加で作成するなど対応に追われているそうだ。

 また、価格帯が(4990万円〜4億4980万円、最多価格9100万円台)の「パークコート千代田富士見ザタワー」の売れ行きが良かったことも、業界的には盛り上がっている要因の一つではある。

 不動産経済研究所が先日発表した、3月の首都圏マンションの発売戸数によると、5139戸で前年比約50%増。さらに契約率でも82.1%となり、8割超えは昨年8月以来7カ月ぶりとなった。高額物件だけでなく、全体的に業界的に楽観的な見通しが広がるが、価格を決める一方の要因である買い方が増えていることもある。

 ただし、いわゆる価格が激しく値上がりする「バブル」という現象でもないようなのだ。

相続税と消費税がともに増税

 ある不動産業者は「アベノミクスの影響かどうかは断言できませんが、相続税や消費税の増税をにらんだ対策として資産のある方が見に来られているようです」と話す。

 先日は、孫を連れた初老の老人が内覧に来たそうで、営業マンは「お孫さんは、ご自宅と比べてどうも気に入らないようで、ご立腹な様子でした。終始、ご機嫌ナナメでした」と話す。これなどは、一世代分のクッションを置いた節税狙いなのだろうか、などと考えられるケースだ。

 現在は円安・株高だが、富裕層がその先に見据えているのが、相続税と消費税のアップだ。億ションを購入する場合は、消費税率が5%から8%に上がっただけで、数百万円も違いが出てくる。こちらは来年度に、その時の景気情勢を見極めながら決定されるが、ほぼ既定路線のようだ。

 さらには、相続税でも最高税率は、現行の3億円超(控除額4700万円)が50%となっているが、平成27年1月からは、相続税6億円超の人を対象に55%に引き上げることになる。

 つまり、2つの増税がまだ来ていない今のタイミングが、まさに買う時期ということになる。

 買い方の動向はそうだが、売り方がじっくりとタイミングを見計らい始めたようで、このあたりの動きにも注意が必要だろう。

■渋る売り方で崩れる需給バランス
 相続対策で買う人もいれば、その一方の対策としては、現金に替えたいがために売却したい人もいる。ある不動産投資家は「待っていたら騰がるかもしれないので、チャンスを見ながらの方がいいかとも考えています」という。

 先に登場した不動産業者が、出物がないと嘆いていた理由の一つは、ここにもあるようなのだ。価格が上昇していないのに「売るのはもったいない」と考えるのが人情だろう。

 買い方は、金融機関の融資の利率も低い今がチャンスととらえているものの、良い物件を持っている売り方は、最善の条件が来るまで待っていればいいだけだ。

 需給が一方に傾いている感じで、現在はバランスが取れていない状態のようだ。もちろん、きっかけ一つでバブルの再来ということもありうる。アンダバリューだった日本の不動産に狙いをつけている外国人投資家など、マーケットを動かすことができる可能性があるプレーヤーの参戦も今後は考えられる

 とにかく、富裕層から動き出した不動産市場。今後、バブルになるには、もっと参加者が増えていかなければならないことは間違いないようだ。

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