換気の誤解”などに注意! お部屋で「劣化」しやすいポイントとその対策

「住まい」について、多くの方が
長く快適に過ごしたいものだと考えていることでしょう。

そのためにも、部屋の汚れや痛みなどの劣化は防ぎたいところ。

そこで今回は、そんな日常を快適にするために、
普段の生活で汚れやすい箇所、または劣化しやすいポイントとその対策を紹介します。


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■「劣化」=「汚れ」+「生活感」?
「劣化」といっても、建築物に関わる劣化には、設備や配管の機能劣化、
防水性能の低下など、構造躯体から仕上げ、または外構や植栽までさまざまです。

ここでは実際に生活する場として、建物の内部について取り上げてみましょう。


では、どこが劣化しやすく、住まいのイメージに影響を与えるのか。

賃貸物件で考えれば、
「退去時に原状回復の対象となる部分」ととらえると分かりやすいでしょう。

リフォーム時に優先されるのが、トイレやバスルーム、
キッチンといった水廻り、そして壁クロスです。

これらは部屋の印象を決める重要な要素といえるでしょう。

実際に物件選びで内見をしていると、
リフォーム前の物件を見る機会もあると思います。

その際に汚れたままの場所が目に付いてしまうと、
前の居住者の生活を感じて良い印象を持てないのではないでしょうか。

入居者の退去後に行うリフォームは、そのような生活感をリセットし、
次の方に気持ちよく入居してもらうためのものです。

そのため住まいの劣化とは、
機能だけでなく汚れや生活感が合わさったものであるとも言えそうですね。


■水廻りは換気が大切
水廻りについて言えることは、
「気流を考えた換気を適切に行うこと」がもっとも大切だということです。

換気の目的は、新鮮な空気を取り入れ、温湿度を調節すること。

そして湿度の適正値は、50〜60%とされています。

これより湿度が高くなると結露やカビの発生原因となりますし、
反対に低すぎると乾燥してしまいます。

特に冬場の気温が低い時期では、湿度が30%以下になると
インフルエンザウィルスが生息しやすい環境となるので注意が必要です。


“気流”を考えた換気とは、リビングや寝室であれば異なる2面に通気を設け、
空気の取り入れと排出の流れができるよう配慮すること。

つまり、効率的な換気をすることです。

では水廻りはどうでしょうか? 
戸建以外のマンションなどでは、窓が1ヶ所、もしくは窓が無いというケースも多いでしょう。

このような場合、どうすれば効率の良い換気ができるのか悩ましいところです。


■換気の誤解
2003年施行の建築基準法改正によって、
以降に建築された建物には24時間換気設備が設置されています。…
このような建物では各部屋のドアにアンダーカット
(扉下側に数センチの隙間)が設けられ、
一般的にはトイレの排気設備で全体の空気を引っ張ります。

つまり各部屋の空気は、
アンダーカットを通じてゆっくりとトイレに向かうのです。

そのため対象となる物件では、
窓の無いトイレでも自動的にしっかり換気がされています。


では、バスルームはどうでしょう。

お風呂を出た後、換気扇を回すのと同時に浴室入り口のドアも開放していませんか? 
実はこれ、換気効率と劣化対策の面から見ると不適切な行為なのです。

ドアを開放すると一斉に湯気が拡散されるので、
早く空気が入れ替わる気がするかもしれません。

しかし実際はバスルームの空気が外に逆流しているだけで、
換気扇の能力を充分に活かせなくなってしまいます。

その結果、脱衣所など室内の湿度が過度に高くなり、
カビ発生の原因をつくってしまうのです。

ですからバスルームやトイレ等で換気扇を使用する場合は、
必ずドアを閉めておきましょう。

逆流を防ぐだけでなく、
空気の流れを正しく保つことができます。

換気に関する正しい知識を持って、
室内環境をいつも快適に保ちましょう。


■キッチンは油汚れ、水垢対策を
キッチンで頭を悩ませるのが、レンジフードとコンロの油汚れ、
そしてシンクの水垢です。

これらの汚れは放っておくと簡単には落ちない頑固な汚れに成長してしまうので、
日頃の対策が必要です。

レンジフードの油汚れについては、
ホームセンターなどで油を吸着するフィルターが販売されています。

レンジフードの形状にあったものをあらかじめ取り付けておくことで、
フィルターが油煙を防いでファン部分の汚れは激減します。

最近のレンジフードは整流板がついているものが多いですが、
フィルターの汚れが見えにくくなるのでこまめなチェックが必要です。

長期間放っておくと整流板に油がたまり、
垂れてくることもあります。

そのためフィルターは、
汚れすぎないうちに交換するようにしましょう。

また炒め物や揚げ物をすると、想像以上に油が飛んでいます。

後片付けと同時にコンロや壁面、床を軽く拭く習慣をつけること、
そして頑固汚れになる前に都度対処することが、
キレイで快適なキッチンを維持するポイントです。


毎日普通の暮らしをしていても、
お部屋の環境は自然と劣化していくもの。

しかし、日ごろのメンテナンスや心がけ次第で、
その度合いは変わってきます。

あなたも「これは、まだやっていない」と気付いたことがあれば、
ぜひ今日から実践してみてください。…
今まで以上に、快適な暮らしが送れるはずですよ。


文:土屋 亨夫


執筆者プロフィール
土屋 亨夫
1976年生まれ、東京都出身。

工学院大学建築学科卒業後、建築設計事務所や不動産会社(企画開発)での
勤務を経て現在大手メーカーFM(ファシリティマネジメント)部署に在籍している。


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